P510への想い

存知ダットサンブルーバード(日産とは呼びたくない)であるが、発売当時ケツの下がった先代に比べて物凄く画期的なデザインに思えた。
その時はその印象しかなかったのだが、映画「栄光への5000km」でいっぺんに虜になってしまった。

「車ってあんなふうに走れるんだぁ・・・・」と思ったのと、映画の中で走行中に石原裕次郎が「ゴトゴト」という音で車両の異変を感じて車を止め、下にもぐりこむシーンがあり、「すんげぇぇ〜音でどこが壊れたかわかるんだぁ〜!」と当時小学校高学年だった親方は感動したものである。
あれは、フロントサスのテンションロッドが折れたかなんかで、10年後に自分でラリーの競技中にテンションロットの付け根の溶接がはがれた時にあの時の感動が蘇った。

やはり一番かっこいいのは、'70サファリ仕様で、185/70−13の幅広(これでも!)のDUNLOP―SP44を装着する為にわざわざオーバーフェンダーにした姿と銀色のミニライトのホイルのマッチングがたまらない。車高も純正オプションよりいくぶん高かった。しかし、当時の日産純正ラリーサスは、ほとんどサファリ仕様と変わらないクオリティを持っていたので、貧乏ラリーストには有り難かった。社外のダンパーーは大概1戦走ると抜けてしまい、安物買いの銭失いとなるのだが、純正は1年以上保った。

ブルーバードフリークの間では、アメリカのツーリングカー仕様の2ドアセダンの方が人気があるみたいだが、やっぱサファリ仕様でっせ、510は。

当時の日産車は、親切設計で、L型のエンジンミッションは互換性があったので、直結5速(5速が、1.000のギヤ比になっているものを「直結」と呼ぶ)のミッションもチョイス出来たが、個人的にはフェアレディZ−L用の1速2速が3速にクロスした5速ミッションに4.375のデフが高速クルージングも考慮した林道走行仕様ではベストチョイスだと思う。

今ではカローラでも1トン越えてるのが普通だが、510は920kgしかなかった。
振り回すレスポンスは軽すぎず重すぎずちょうどいい感じで、アンダーが強いのをどう乗りこなすかが決めてであったように思う。
初代ランサーなどはホイルベースが短いのですぐ向きは変わったが、高速コーナーなんぞでの安定性は悪く、3速全開くらいの高速コーナーでは踏んで回れない怖さがあった。それと、P510は、リアの独立懸架のせいでグリップが良過ぎてアンダーが強いと評されていたが、フロントサスペンションのロアアームを13mmほど延長すれば結構向きは変わるし、その割りに高速でもフラフラしないとても良い操縦性のクルマだったと思う。
しかし、今のトップカテゴリーは300馬力以上ある4駆の車だから、やはり古きよき時代であったといわざるを得ない。
親方としてはちょっと淋しい・・・・

 

〜余談〜
近年、アフリカに行く事の多い親方は、日本製ハイパワー四駆ラリー車を持って行ったら楽しいかなと思っているのだが、ヨンクの運転の仕方が分からない。
その昔、FRはコーナー手前で減速して、踏んでドリフトしながら回る。
FFは、コーナーにオーバースピード気味に入り、アクセルを離してタックインさせて向きを変える。FFとFRはアクセルをONで向きを変えるのと、OFFで向きを変えるという対照的な特徴があったのに、ヨンクは????
今は時代が変わって、本屋さんに行ってもドラテクの本なんて売ってないのである。
親方は、Amazonで数冊のヨンク本を探して読んでみたが、肝心な事はあまり書いてない。
"ヨンクは立ち上がり加速がいいのでゆっくり回って一気に加速しましょう・・・"
アホらしいと思えるようなドラテクの解説がしてあった・・・・・(笑)
少なくともWRCの映像なんかを見ていると、オーバースピードでコーナーに入り、慣性ドリフトで無理やり向きを変えてトラクションと遠心力を喧嘩させているみたいな走り方しかできないんだなぁ〜と思う。
いつの日かアフリカにヨンクを持ち込んだら、その時にまた感想を述べることにしよう。